FWAP Fukuoka Wall Art Project 2023

総評

1年⽬の「Fukuoka Wall Art Project」は、活動⾃粛で静まり返った街を元気づけようと、あるいは展⽰機会を失ったアーティストが⼒強く表現を試みようと、⼒強い、主張のある作品が多い印象でした。それに対し2年⽬の今年は、じっくりと時間をかけて作品制作に向き合いながら、⽇常の暮らしや⽣きることについて、静かに反芻している姿勢を多くの作品から感じることができました。
「毎⽇の暮らしをどのように紡いでいくべきか」「⼈の⽣や死とどのように向き合っていくべきか」──優秀賞の5作品はどれも、異なったアプローチで⽇常や⽣死に向き合い、その答えを静かにすくい取ろうとしているかのように感じさせる、甲⼄のつけがたいものでした。
全数把握の⾒直しが検討されるなど新型コロナウイルスへの向き合いは変化し、⽇常⽣活や習慣として浸透してきているように⾒受けられます。今回集まった作品はそうした変化を感じさせるもので、仮囲いに掲出された作品を⾒ながら、私たちの⽣活がどうあるべきなのか、いま⼀度問いに向き合おうと思います。

優秀賞選評

安藤圭汰:「永劫はこれただ瞬時」

⼒みのないモノクロームの線描や滲みに、⽣命とそれが死に朽ちていき、また⾎⾁となる循環が表現されている。沈んだ抽象的な表現でありながら、何かを掴み取ろうと、ジッと鑑賞させられる⼒強さを持っている作品。

神園宏彰:「光と風の集積」

規則的に⾚と⽩の三⾓形が連続し、洞窟を照らす⽕と太陽の光が表現されている。⽬をこらすと線には歪みがあり、⼈の⼿によって描かれているあたたかみを感じることができる。

銀ソーダ:「刹那」

鮮やかな⻘がスピード感のある筆触で積み重ねられながら、⼀つひとつの⾊が丁寧にキャンバスに置かれていく。⽇々の⼩さな判断や⼈との交流といった刹那の連続で、⼈⽣が築かれていくことを思い出させてくれる。

小島拓朗:「untitled」

福岡の何気ない⾵景を丁寧に描き上げていく様⼦から、実直な街への愛着が伝わってくる。不確実に加速化する現代社会のなかで、⽇常を⼤切にすることや絵画の持つささやかな魅⼒を感じさせてくれる作品。

鈴木淳:「On the Bed 002-3」

シンプルな⾊と線のイラストタッチの作⾵のなかに、複層的に意味を織り混ぜている、現代アートの良作。ベッドの上のタオルケットを抽象化することで、眠りと⽬覚めといった繰り返される⽇常から⽣と死を想起させる。

チーフディレクター 田尾圭一郎

Fukuoka Wall Art 賞
受賞作品一覧

優秀賞

(掲載五十音順)


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